X-terra サイパン 参戦記                 2004417

                          武木田 秀人

X-terraはいわばオフロード版のトライアスロンでSWIMは普通のトライアスロンと変わらないがBIKEMTBRUNはトレイルランで行う。自分はトライアスロンが専門種目だが趣味としてMTBを楽しんでいたこともありX-terraには非常に興味があり2年前から日本のレースに参戦して来た。X-terra自体はこれで出場するのは6回目、サイパンは去年に引き続き2回目になる。去年はレース前日の夜から体調を崩し、レースそのものは結局BIKE終了時にリタイアして救急車で病院に担ぎ込まれた。なぜかははっきりしなかったが疲れがたまっていたのと急激な気候の変化に体が耐えられなかったのが原因のようだ。というわけであまりサイパン自体にはいい思い出はなかったのだが、自分の苦手意識を克服するためにも出ておきたかったし、今年は日本で1戦しかないので行けそうなところは参戦しておきたかったということもあり参戦を決意した。 といったものの直前までいろいろと用事を抱えてしまい結局いけることが決定したのは1週間半前で大急ぎで旅行を手配した。そのために飛行機が取れずレース前日にサイパン入り、しかもホテルも会場から8km離れたところになってしまい、色々と不安を抱えながらのサイパン入りとなった。

4月16日灼熱のサイパン国際空港に降り立つ。最高気温は32,3度といった感じだがハワイに比べるとはるかに湿気は強く、夏の日本といった感じである。日本との時差は1時間、現地時間の3時近くに到着したが結局ホテルにたどり着いたのは5時前。前日のパケットピックアップは5時までだったのであわてて自転車を組みレース会場に向かったがすでに遅く当日受付ということになった。サイパンはここ1週間ほどまとまった雨はなかったものの到着日の午前中に大雨が降ったらしくコースは非常にスリップしやすい状態になっていることが想像された。午後7時からは大会のオフィシャルホテルで競技説明会とウエルカムパーティが行われた。競技説明は日本で行われるトライアスロンとは違い、相変わらずアバウトなところがあるがそこがまたX-terraのいいところだと思う。

 大会当日(17)、レースは8時開始だ。ホテルから会場までは結構離れているので5時ぐらいにホテルを出る。天気は夜明けまで雨が降っていて朝方の時点では曇り、路面はぬれていた。サイパンの道路は舗装に珊瑚が混じっていて雨にぬれると非常に滑りやすくなる。レースまでに乾かなかったらどうしようかと不安になった。会場には比較的早く着いたので受付を済ませゆっくりとアップを行う。去年とは違い体の調子は悪くないようだった。SWIMの会場であるマイクロビーチは去年、浅すぎて半分くらいしか泳ぐことのできない状況だったが今年は潮の満ち引きの関係か比較的に浅いもの問題なく泳ぐことができそうだった。

 サイパン時間午前8時、レースがスタート。天気はまだ曇り。X-terraに出ている人たちはあまりSWIMは速くないので楽に抜け出すことができる。コースは沖合の2つのブイを回って上陸しビーチランの後、海に飛び込む750m×2周回。波が強く時折たたきつけられる。これでは泳げない人はきついかもしれない。2636秒でSWIM終了。トランジットへトップから3分差、15位でSWIMをアップ。BIKE30kmで舗装路と未舗装路の割合が4:6ぐらい。登りは舗装路、ダブルトラックが多くどっちかといえばパワー系のコースである。だが下りはシングルトラックが多く普段は使われていない道をコースとして利用しているために路面状況はあまりよくない。それに加えて前日の午前中に雨が激しく降ったために森の中はどろどろの状態だった。天気はBIKEに入るころには晴れだし雨が蒸発してきた湿気に直射日光が加わり非常につらいコンディションになった。コースは途中サイパン一高いタポチョ山(といっても標高473mだが)を制覇、その後はトランジットのあるマイクロビーチまで一気にダウンヒル。途中2度のドロップオフではプレスのカメラが待ち構えていて緊張する。 1回、泥に突っ込んで落車したが低速だったためにさほどのダメージはなく助かった。そのまま気持ちよく下りトランジットへ。BIKEタイムは1時間3936秒。 RUN12kmでこれまたサイパンの自然を利用した難コースで舗装路と未舗装路の割合は3:7ぐらいだ。はじめの2kmは公園内を走りその後ジャングル、沢の中をひたすら登らされる。もちろん普段、人が立ち入るような所ではないので石にはコケがびっしり生えていて油断していると足をとられてしまう。その後、次第に下り始める下りもこれまた沢で非常に滑りやすい。下りはロープを伝って降りていく。途中には日本軍が戦時中つかっていた防空壕を通る。 ジャングルを抜け、戦前から存在する彩帆香取神社を抜けると最後はビーチラン。最後の力を振り絞る。 結局、3時間1532秒、総合10位、アマチュア3位、年代別(20から24) 1位でゴールした。年代別1位ということで無事に10月にハワイ、マウイ島で行われる世界選手権への切符を手にした。  

 レース後の夜はアワードパーティ。フィリピン海に沈む夕日を見ながら表彰を受けた。また夜遅くまで各国の選手達と語り合い交流を深めることができた。次の日には島の南東部の小さなビーチでBBQパーティがあり有志が集まって楽しんだ。普通のトライアスロンのレースではありえないこのアットホームな雰囲気はX-terraならではといえる。

X-terraの大会の魅力として、ただのトライアスロンとは違いコースを制覇するという楽しみがある。今回のサイパンのレースは非常にタフでまさにそれが堪能できた。8月にはX-terra ジャパンも控えているのでそれに向かってさらに精進していきたい。