平均自由行程(mean free path)
気体分子が他の気体分子に1度衝突してから次に衝突するまでの飛行距離を[自由行程]という。
そして、自由行程の平均値を「平均自由行程」という。平均自由行程は、気体の種類と気体分子密度を一定にすると、一定値として与えられる)圧力が高いと分子密度が高くなるので、衝突までの距離は短くなり、平均自由行程は短くなる。平均の衝突回数(ν)は、次のように表せる。
(気体分子が「直径D」の球で、静止している場合)
ν = nπD2V (n:分子密度、 V:気体分子の速度)
単位時間内に Vだけ進む間に、ν回衝突するから、平均自由行程(λ)は、次のように表せる。
(単位時間とは、気体分子が他の気体分子に1度衝突してから次に衝突するまでの時間である)
λ = ν/V = 1/(nπD2)
これは静止分子と仮定した場合で、実際は他の分子も動いているので、相対速度√2×Vの補正をする。
λ = 1 /(√2 nπD2)
n = P/kTを代入する。
λ(m)=(3.11×10−24T)/(PD2) (T:温度(K)、P:圧力(Pa)、D:気体分子の直径(m))
目安として、空気のλは、室温、10−1Paで、約7cmである。
つまり、圧力が低くければ、分子が容器の内壁から内壁まで飛ぶ間に、衝突する可能性はほとんどない。
N2ガスの場合の平均自由行程は、次のような近似式で表せる。
λ(cm)≒(5×10−3)/P (圧力Pの単位はTorr) また、各種気体中における電子の平均自由行程は、気体分子自体の平均自由行程の4√2倍となる。
代表的な分子や電子の平均自由行程
(25℃、133Pa(1 Torr)) H2 分子(0.085mm)、電子(0.48 mm)
He 分子(0.14 mm)、電子(0.77 mm) N2 分子(0.045 mm)
、電子(0.26 mm) O2 分子(0.049 mm)、電子(0.28 mm)