Glow放電の語源
Glow放電の特徴 圧力が0.01〜1000Pa程度の気体を封入した放電管に、電流を流す時に発生する。 比較的大電圧(数百〜数千V程度)で、小電流密度(10-5〜10-3A/cm2)での放電である.
一般に、glow放電による陰極降下は、約200〜300Vと、かなり大きい。 「γ作用」により、陰極から電子が放出される。(放出確率1/10) そして、γ作用により供給された電子は、「α作用」で増殖し、放電が維持される。 プラズマ状態は、電離度の低い「弱電離プラズマ」である。 内部のgasの種類により特定の色(波長)の光を発する。 例として、「冷陰極放電管」を用い、直流の電圧を電極間に印加して放電について考える。 (ヒーターなどを用いて外部から陰極を加熱する放電管は「熱陰極放電管」と呼ばれる) ・円筒型ガラス容器内に1対の電極を対向させ、内部を真空排気後、低圧力(2000Pa以下)の気体を封入する。 ・そして、直流電圧を印加すると、陰極から放出される電子が直流の電場で加速される。 ・中性の原子や分子と衝突することによって、ion化して、電極間には光輝く放電Plasmaが発生する。 「放電開始電圧」は、容器内の「圧力」と「電極間距離」によって異なる。 圧力が高い場合は、定常的なglow放電は現れずに収束型の陽光柱となることがある。 また、glow放電を経ないで、直接arc放電に移行する場合もある。
陰極の電流密度が数十mA・cm-2以下で、放電管内の気圧が1000Pa以下の状況下で放電させる。 そうすると、定常的に継続する放電Plasmaが得られる。 このPlasmaが「glow放電Plasma」である。 直流放電管で生成したPlasmaの状態は、場所によって光の度合いや発光の度合いが異なる。 そのため、電極間全体で一様ではない。
Glow放電の応用 蛍光灯、ネオンサイン等に応用されている。
Glow放電の各部名称と働き これら8つが、1度に全て観測されることは稀である。 電極の種類や封入気体の圧力にもよるが、通常は3〜5つ程度が区別して確認される。 同一気体でも、封入圧力と放電電流及び放電管の構造の違いによって、発光色は異なる。
・アストン暗部 陰極の表面近くの極めて薄い暗部は「アストン暗部」と呼ばれる。 この暗部は、封入気体が励起電圧の高いHe、Ar、Ne等の放電の際に良く認められる。 ・陰極glow アストン暗部を過ぎて陰極全体を覆うオレンジ色の部分は「陰極glow」と呼ばれる。 ・クルックス暗部 陰極glowと負glowの間にある暗い部分は「クルックス暗部」と呼ばれる。 この部分は、別名「陰極降下」と呼ばれる。 陰極近傍での電圧降下のほとんどはこの部分にかかっている。 陰極から距離を経るとともに、クルックス暗部の電界は直線的に減少していく。 そして、ついにはゼロとなって励起が盛んになり、負glowの発光部が発生する。 ・負glow 陰極glowを経て、青白い明るく輝く部分は「負glow」と呼ばれる。 負glowの陽極側電界は、負の電界となり、ここからの電子は拡散により陽極側に流れる。 ・ファラデー暗部 負glowからの電子は、陽光柱の先端に向かって加速され、衝突電離を起こす。 この部分を「ファラデー暗部」と呼んでいる。 ・陽光柱 ファラデー暗部から赤紫色に輝く部分が陽極の近くまで続いている。 この部分が「陽光柱」で、Plasmaの状態は電気的にほぼ中性である。 陽光柱内の電子と正ionは、電荷の極性に従い、それぞれ反対方向に移動する。 陽光柱における電界は、この衝突電離と荷電粒子の輸送のために用いられる。 そして、放電管の軸に沿って、ほぼ一定である。 このような状態で電極間隙を変化すれば、陽光柱の長さを変化させることができる。 ・陽極glow 陽光柱が存在する場合、陽極直前に陽極電圧降下が生じる。 電子は、衝突電離を起こして正ionを発生させる。 そして、これを陽光柱やファラデー暗部に供給する。 この時、陽光柱と陽極の間に、赤みがかったオレンジ色の光の強い部分が生じる。 この部分を「陽極glow」と呼ぶ。 ・陽極暗部 陽極glowが現れている時、陽極の直前に現れる層の薄い暗部が確認される。 これは「陽極暗部」と呼ばれる。